中国メーカー、サイロン社製タイヤのその後の経過についてご報告します。なお、報告が遅れたことについて最初にお詫び申し上げます。
・タイヤテストに至る経緯
弊社のスカニア社製トラクターヘッドは2種類あります。それは2016年に21年ぶりにフルモデルチェンジが発表されたため、それ以前に導入された旧モデルとそれ以降の新モデルです。旧モデルの駆動輪(後輪)はタイヤサイズがあまり見かけないサイズで、295/60R22.5を採用しています。現在国内タイヤメーカーで確認してもラインナップに見当たらず、選択肢はミシュラン社製一択という状況が続いていました。しかし継続的に捜索していたところ、あるタイヤ販売会社より連絡があり、中国メーカーのサイロン社製タイヤならあることが判明しました。確認すると価格はミシュラン製のちょうど半分。テストしてみる価値は十分あると判断し、購入に至ったわけです。
・テスト方法
やはり走行条件はできる限り揃える必要があることから、エアカーゴ便で利用している車両でテストすることとしました。エアカーゴ便はほぼ毎日深夜羽田〜成田間を走ります。また走るのが深夜のため、渋滞も少なく安定した交通モードが期待できます。さらに1日の走行距離や運搬物量のばらつきが少ないこともテスト向きだと判断しました。装着したのは、駆動軸の4本のみです。
・タイヤについて
295/60R22.5は、S629シリーズにラインナップされています。4本の太い縦溝が印象的なトレッド面で、溝の深さ(新品時)は、約13mmでした。ちなみにサイロン社のホームページ、日本用と欧州用どちらで確認しても、不思議なことにこのS629という名称のシリーズは確認できなかったことはお伝えしておきます。
対してミシュラン社製タイヤは、X MULTI Dと呼ばれる駆動軸専用オールシーズンタイヤです。溝の深さ(新品時)は、約16mm強。まず溝の深さに違いがありました。こちらも日本国内のHPではその存在を確認できませんでした。ただしイギリス向けのHPではしっかりと確認できました。
・テスト結果
テスト開始は、2021年5月26日。以下は、そこから約3ヶ月が経過した9月初旬時点でのものであることをお断りしておきます。サイロン社製タイヤは、新品時に13mmに対して、走行距離4万1498kmで平均残溝8.5mmとなりました。4.5mm摩耗したことになります。また細かく見ると、内側の2輪に対して外側の2輪の方が少々多めに摩耗していました。そしてミシュラン社製タイヤですが、走行距離は約3000km少ない3万8215kmで平均残溝13.2mmとなりました。約3mm摩耗したことになります。そしてサイロン社製タイヤでは少し気になった内側、外側の差も少なく良好でした。
この時点での摩耗から予想すると、最終的なライフに倍近い差が生まれそうです。ただし価格が半分なので、そのあたりも考慮しなければなりません。またリグルーブも当然考えられるわけで、まだまだテストは続きます。以上3ヶ月経過時点での中国製タイヤテストのご報告でした。